手のシビレの原因のひとつに、胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)という疾患があります。
なで肩の女性に多いといわれていますが、格闘技やトレーニングなどで斜角筋や小胸筋が発達した男性の方にも起こります。
鎖骨周辺に腕神経叢(わんしんけいそう)という腕や手指を支配する末梢神経の束があります。
それが腕や手指に続く鎖骨下動脈・鎖骨下静脈という血管とともに圧迫されて起こる疾患です。
心臓から続く血管が、胸郭を出たところで神経とともに圧迫されるため、『胸郭出口症候群』と呼ばれます。
首や肩・腕を特定の位置にもっていくと、腕や手指にシビレやだるさ、痛みが現れます。
首が長く、なで肩の女性に多く見られ、20代にピークがあります。
また、胸郭出口症候群は圧迫される場所によって呼び方が違い、それが4種類あります。
・斜角筋症候群
・過外転症候群
・頚肋症候群
・肋鎖症候群
斜角筋症候群
鎖骨下動脈と腕神経叢は前斜角筋と中斜角筋の間の斜角筋隙(しゃかくきんげき)と呼ばれる部位を通過します。
上肢の挙上を頻繁に繰り返すと斜角筋が緊張を起こし、斜角筋隙で鎖骨下動脈と腕神経叢が圧迫され、痛みやシビレなどの症状を引き起こします。
過外転症候群(小胸筋症候群)
過外転症候群とは、手足の痺れや痛み、冷えなどの症状が表れる疾患で、小胸筋と呼ばれる筋肉に神経や血管が圧迫される事によって起こります。
小胸筋の過外転によって引き起こされ過度に力が加わった時に発症しやすく特に20代の女性や運動をしない人・筋肉をつけ過ぎている人・同じ姿勢で仕事をすることが多い人など、普段の仕事や生活で身体を酷使したり、長期間にわたるストレス等が理由で発症するとされています。
筋トレなどで筋肉を増強したり、ストレッチなどで身体をほぐせば改善されますが、他にもマッサージや、鍼を用いた治療などで、より症状を緩和することができます。
頚肋症候群
頚肋症候群とは頚肋骨が存在することによって引き起こされる症状をひとくくりに示します。
時には胸郭出口症候群とは個別の独立した症状として扱われることもあります。
その理由は、頚肋骨という骨の形成が原因で起こるという特異性からきています。
レントゲンなどで画像を撮影して、頚肋骨が発見されるのは、わずか0.5%程度の割合にすぎませんか。
稀なケースですが、1000人中5人と考えると決して人事ではありません。
頚肋骨とは一体どのようなものなのでしょうか?
頚肋骨とは
本来12対である肋骨に加わるもう1つの肋骨の事です。通常の肋骨は第七頚椎の次に繋がっている第一胸椎の関節部分から始まります。
しかし、頚肋骨がみられる場合は第七頚椎、時には第六頚椎からもう1本肋骨が発しており、鎖骨下動脈や静脈、腕神経叢を圧迫してしまいます。
なぜ頚肋骨ができるのか
まだ産まれる前、胎児期の骨格にはもともと下位頚椎から肋骨が出ています。
それが成長する過程で退行し、椎体の横突起という骨の出っ張りを形成します。
それが何らかの理由によって、正しい発達が阻害され、0.5%の確率で退行せず、頚肋骨のまま残存してしまった状態です。
肋鎖症候群
頚肋症候群は先天的、生まれつきの骨格が原因でした。しかし肋鎖症候群の場合は比較的後天的な原因の影響が強いといえます。
習慣性の頸肩腕(けいけんわん)過労による血行不良、姿勢や老化などによる骨格の変位、怪我などで鎖骨や肋骨を骨折した後の変形などが原因としてあげられます。
また、女性に多いとみられるのが、職業性の筋膜過労です。筋膜過労は炎症を引き起こし、筋部の膨張から血管を圧迫して血行不良、次いで代謝異常に陥ります。
仕事で日々重い荷物を背負わなければならない方々にも「肩こり」の予防意識が必要なのです。
当院にも胸郭出口症候群の患者さんが多数来られます。
マッサージや鍼灸、整体治療でみなさん喜んで帰って行かれます。
お悩みの方はいつでもご相談ください。